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実績とエピソード
最近の人事労務系ソフトウェアの発展により、給与計算はほぼ自動でできる時代になりました。
(うまくシステムを組み合わせれば、の話ですが。)
タイムカードは従来型の紙のカード式だけでなく、スマートフォン、タブレット、パソコン、IDカード、顔認証など様々な手段で打刻ができるようになりました。
そしてこれらの機器で打刻した時刻をデータで給与ソフトに読み込み、自動で集計して給与計算をすることができます。
しかも、データはUSBメモリなどを介してではなく、クラウド上でやり取りすることができ、計算結果の給与明細も各社員にメールなどで自動的にお知らせし、クラウド上で閲覧できるものもあります。
さて、このように便利になってきた給与計算ですが、根本的な問題と課題があります。
大きく分けると2つあると思います。
① ルールの問題・課題
正確な給与計算にあたっては年間の出勤日数(労働時間数)や1日の勤務時間数(7時間、8時間など)だけでなく、残業をしたときの割増率(1.25など)を決めておくことが必要になります。
これらが明確に決まっていないというケースも意外に多くあります。(結果的に給与計算は大まかな感じになってしまいます。)
よって、就業規則や雇用契約書においてあらかじめ決めておくことが必要になります。
② ソフトと機器の問題・課題
給与計算のルールを整え、ソフトと機器を揃えてもソフトと機器の設定が正しくできていなければ正しい給与計算ができません。
特に給与ソフトは設定が重要です。
給与ソフトによっては細かいところまで自動化されているものもありますが、多くのソフトは保険料率、残業代の単価に含める手当・含めない手当、月給制社員のひと月平均勤務時間など設定するところが多々あるようです。
社員ごとの設定が必要なケースもあります。
適切に設定をして正確な計算ができるようにすることが重要です。
近年、労働基準監督署の調査や退職した社員による通報がきっかけで残業代の未払い(支払額の不足を含む)の指摘を受けるケースが増えているように感じます。
いわゆるブラック企業のような会社でなくても単純な計算ミスで結果的に残業代が不足して「未払い(不足)」を指摘されることは割とよくある話だと思います。
ミスによる残業代の未払い原因として次のことが多いと考えられます。
① ひと月の平均所定労働時間(予定された勤務時間)が不正確であること
② タイムカードに打刻された労働時間の集計ミス
③ 残業代の1時間当たりの単価の計算ミス
調査で不足が指摘されると最低でも3か月さかのぼって支払いを指示されることが多いと思います。(場合によってはもっとさかのぼることもあり得ます。)
社員が多い会社の場合、金額がかなり大きくなるケースもあります。
以前ご依頼頂いた調査対応であったケースをお話しします。
監督署の調査を受けた後、残業代の不足について支払いを求められ、実際に支払いが終わった後にご依頼頂いた案件でした。
監督署に提出する報告書を作成してほしい、というものでした。
会社に訪問してこれまでの経緯を伺いました。
賃金台帳を拝見したところ、よく分からない手当が支給されていたのでお尋ねすると、
・基本的には月~金の勤務としているが忙しいときは土曜日も出勤してもらっている。
・土曜日に出勤したときのために残業代の目的でその手当を出すようにした。
・手当の名称が「○○残業代」となっていないのは以前に社労士に頼んだときの経緯によるもの。
ということでした。
たしかに月給その他の手当から逆算するとその手当が一定時間分(土曜出勤分)の残業代に相当する金額になりましたので、これは定額残業代として支払われているものであると確信しました。
しかし、既に監督署から指摘と指示をされた金額を残業代の不足分として社員に支払い済みで、いまさら元に戻すこともできない状況でした。
このヒアリングが終わったときには3時間が経過していました。
後日、監督署にはこれまでも定額残業代を支払っていた旨を説明し、今後の会社としての対応を書面にまとめたものを報告書として提出しました。
もう少し早めにご相談頂ければ違った結末となっただろうと思われる案件でした。
社労士として法を尊重するのは当然ですが、会社の立場も考えながら十分にヒアリングをした結果、上記の通りとなりました。
行政の担当者ではここまで十分に掘り下げたヒアリングをすることは実際問題難しいと思います。
やはり私たち社労士ができる仕事だと感じています。
もうひとつの事例を紹介します。
コロナが日本で感染拡大する前年に委託を受けたレストランの事例です。
当然、コロナ発生前ですのでコロナのことは全くの想定外でした。
委託を受けたときに社長にヒアリングをし、ある程度の残業(時間外)と深夜勤務があることが分かりました。
社長は社員の給与を残業代も含めてある程度、固定給にしたい意向でした。(これまでも一定時間の残業代を込みで社員に支払っている旨は社員にも伝えているとのことでした。)
そこでこれまでのタイムカードを分析して年間出勤日数、平日残業(時間外となる時間)、深夜労働時間を割り出し、社長に確認の上、給与の単価から定額残業代を計算してモデルとなる労働条件を設定しました。
年が明けて日本でもコロナ感染が拡大し始めました。
お店もコロナの影響が出始め、4月より雇用調整助成金を申請開始することとなりました。
休業手当支給→助成金受給→休業手当支給→助成金受給、、、を繰り返すこととなりました。
委託を受けた当初はこのような事態を想定していませんでしたが、労働時間と賃金の設計がまさかの非常事態(コロナ)に間接的には役に立ったと思います。
最低賃金(地域別)は毎年10月に改定されます。
ここ数年は毎年20円以上の増額が続いていますので、時間単価の低い社員が多い業種では全体的な賃金増加が負担になっている会社もあるようです。
さて、最低賃金の改定のときに対策が必要な社員は誰でしょうか。
時給制の社員について「いくらにしたらよいか?」というお問い合わせは毎年あります。
日給制や月給制の社員についてはあまり聞かれないような気がします。
正解としてはすべての社員にチェックと対策が必要になります。
割とよくある質問の例として、
① 最低賃金が853円になったので時給850円の社員は853円にしないといけないか?
② 日給制や月給制の社員はそのままでよいか?
というものがあります。
①は850円の時給以外に手当が何もない場合は853円に引き上げることになります。
しかし、他に手当(例えば資格手当など)がある場合は最低賃金の単価計算に含めますので、
1時間当たりの単価=850円+(例.資格手当)÷ひと月の所定労働時間
の計算により853円以上になる可能性があります。
ただし、注意が必要なこととして、850円の時給以外に手当がある場合でも通勤手当や家族手当などの一定の手当については最低賃金上の時間単価計算には含めないことになっています。
②は日給制、月給制いずれの社員についても1時間当たりの単価を計算してチェックすることが必要になります。4月に入社した新入社員の給与が10月の最低賃金改定で基準を満たさなくなるというケースが実際にあります。
①と同様に基本給以外の諸手当を含めて1時間当たりの単価が最低賃金以上となっているかどうかをチェックすることになります。
最低賃金をクリアしているかどうかは毎年チェックしましょう。
社員を雇用したり個人から法人成りしたときに労働保険(労災、雇用保険)や社会保険(健康、介護、厚生年金保険)への加入が必要になります。
これらの保険に加入すると法人(または個人事業所)として毎年の申告が必要になります。
税金の確定申告のようなものです。
① 労働保険の年度更新
② 社会保険の算定基礎届
①労働保険の年度更新は原則として6/1~7/10の申告となっています。
会社でもっている労働保険番号ごとに申告が必要になりますので例えば建設業だと3つの申告書を作成することになります。
また、労災保険と雇用保険ともに保険料率が改定されることがありますので年度ごとの保険料率で正しく計算することが必要になります。
アルバイト・パートや正社員がいる場合は、社員ごとに労災保険と雇用保険への加入状況が異なりますので集計がやや面倒だと思います。
②の社会保険の算定基礎届は7/1~7/10の短い期間での届出となっています。
算定基礎届は通常4~6月に支払った給与の平均で計算しますが、業種によってはこの期間が繁忙期のため他のシーズンと比べて給与が高くなるケースがあります。
この場合は年間平均という方法を使って1年間で計算する方法もありますが、一定の条件を満たしている必要がありますので少々面倒ではあります。
「残業代の設計」のコラムでも取り上げましたが、行政による調査は法律(労働基準法などの労働関係法、厚生年金保険法などの社会保険関係法)に詳しくない一般の方々には適切に対応することが難しいかも知れません。
「適切に」というのは、
・調査官が言っていることが会社の実態を適切に指摘しているのかどうか
・調査官の指摘事項にそのまま従うべきなのか弁明や反論すべき点があるのか
・そもそもお互いの話がかみあっているのかどうか
ということだと思います。
調査官は行政の立場に立って話をしますので必ずしも会社(事業主)の状況や意図を100%くみ取れないこともあると思います。
良い悪いの話ではなく、立場の違いによるすれ違いなのかも知れません。
ちょっとしたことが判断の要になるということがあります。
例えば、役員が社会保険に加入するかしないか、という判断について会社から報酬が出ていれば通常は加入することになります。
しかし、報酬が支払われていても非常勤役員であれば社会保険に加入しません。(非常勤か常勤かの判断の基準は厚労省から示されています。)
一方、例えば社長の奥さんが年収130万円未満になるようにして夫である社長の被扶養者になる場合、年収が130万円未満であったとしてもフルタイムで働いている場合は非常勤ではないので社会保険に加入しなければなりません。
実際に調査のときに正直に答えて130万円未満の奥さんが加入となったケースがあります。
勿論、社会保険に加入しないために嘘をつくことはできません。
ですので、扶養に入りたいということであれば勤務体系を調整するなどの法律に沿った事前対策が必要になります。
このようなことは一朝一夕に対応できることではないと思います。
調査対応を目的にするというよりも働き方の設定や管理を普段から整えておくことが大切だと思います。
顧問先のお客様より次のようなお問い合わせを頂くことがあります。
Q1「社員が月の途中で退職するけど○○手当は日割り計算していいですか?」
Q2「病欠の社員がいるが欠勤それとも有給消化のどちらになりますか?」等々。。。
私はその都度、会社の就業規則をめくりながら例えば次のように答えます。
A1「御社の就業規則の第●条には日割り計算する、と書いてますので大丈夫ですよ。」
A2「就業規則では病欠は原則欠勤ですが、本人が希望するなら有給消化でも可となっていますよ。」と。
私は、自分の判断で勝手に答えてはいません。
会社の就業規則を確認してからお答えしています。
なぜなら答は大抵の場合、就業規則に書いてあるからです。
一般的な印象として、事業主様や事務担当の方は「就業規則を見る」という習慣があまりないように感じます。
これは善し悪しの話ではなく、単なる習慣の問題だと思います。
私も会社勤めをしていたときは総務部の所属でしたが、実際のところ就業規則を見たことがあまりなかったと思います。
ですので、会社の方が会社のルールについて私に問い合わせされるのも無理もない、と思います。(私としては頼りにされているような感じがして少し嬉しかったりもします。)
さて、御社では就業規則を作成されていますでしょうか。
「監督署の調査のときに作成と届出が必要と言われて作った。」
「助成金の申請に必要だったから作った。」
「始めて社員を雇うときに給与体系を決めるために作った。」等々。
作成された理由は色々あるかと思います。
就業規則の作成(と監督署への届出)には一定の決まりがあります。
社員が10人以上いるときは、法律で決まった内容を記載した就業規則の作成と届出が必要になります。
最低限記載が必要な内容は労働条件通知書(雇用契約書)と似ています。(少々違います。)
でも、法律で決まっているから「仕方なく」作成するのでしょうか。
経営者の皆様は、日々の仕事の中で色々な問題に直面されていると思います。
その中で「会社と社員の約束・ルール」である就業規則は「こんなときはどうする?」に答えを出してくれる大切な役割を持っていると言えます。
また、社員に対して(自主性、努力、能力の増強、社員同士の協調など)「こうしてほしい、こうあってほしい」という期待や(守秘義務違反、勤務態度不良など)「これはしてほしくない、こうなってほしくない」ということだけでなく、経営理念や中長期の経営目標などもも就業規則に盛り込んで日々、社員さんと共有して頂ければと思います。
就業規則を活用して社内の約束・ルールと会社の目指す方向性・目標を全社員で共有しましょう。
以前のことですが、ある税理士さんからこんな相談を受けました。
「お客さんのところで中途採用した営業担当が全然仕事が取れなくて解雇してもいいかと聞かれたけどどうなんですか?入社前の面接の時は結構できる営業マンっぽくて採用したけど全然だめらしいんですよ。成績が悪いのを理由にして解雇しても大丈夫ですかね?」
私としては知らない会社のことですし、雇入れ時の経緯や実際の営業成績の具体的なことも分からなかったのではっきりと白黒つけるような答は出せませんでしたが、税理士さんにこう尋ねてみました。
「入社時の約束はどうなっていたんですか?例えば1年間の売上成績が●●万円達成しなければ減給とか、ゼロだったら最悪解雇とか決めていたんですかね?」
「試用期間は決めているんでしょうか?入社後3か月とか6か月とか、とにかく様子見としての試用期間はあるんですか?」と。
しかし、税理士さんも専門外のことですのでそこまでの細かいヒアリングはできていないようでした。
ですので最終的な話としては「成績不良を理由に解雇することが絶対にできないわけではないこと」、「しかし不当解雇トラブルになって訴えられるなどした場合には会社にも不利な部分はあること」、「今後は採用時にきちんと期待値などを本人と約束ごととして決めることが大事であること」を伝えました。
同じような話は世間のあちこちにあるような気がします。
実際に私が会社勤めをしていたときも含めてある意味「鳴り物入り」で入社した社員が全くの成績不良というケースはいくつも見てきました。
その時に困るのは誰でしょうか?
本人、周りの社員、経営者、、、、?
おそらく、全員がそれぞれに困ったことが起きるはずです。
面接時は勿論のこと、試用期間の3か月や6か月では中々分からないことはあると思います。
そのことを考えると「最初の約束」として、入社時(あるいは契約更新時なども含めて)に会社と社員とできちんと約束を交わすことは大切なことだと言えます。
一つ注意点としてお伝えしたいのは、「約束ごと」ですので後で言った・言わないトラブルにならないように「書面」に書いて約束(労働条件または雇用契約)を交わすことが大切です。
三六協定届はずっと以前から存在する労働基準法に関する届出ですが、世間に広く認知されるようになったのはここ最近(働き方改革政策以降)ではないでしょうか。
繁忙期などの仕事が定時で終わらないときは「残業」することになりますが、実は残業(厳密には法定労働時間を超える残業や法定休日出勤)は労働基準法で「禁止」されています。
社員を法定労働時間を超えて働かせたり法定休日(週に最低1日の休日)に出勤させることはできません。(禁止です。)
しかし、現実として残業が一切ない会社はかなり少ないと思いますし、突発的なトラブルが起きることも考えれば「残業ゼロ」ということは現実にはほぼあり得ないのではないでしょうか。
私の関与先で起きた実話を紹介します。
三六協定届のご依頼を頂いたときに社員さんの働き方をヒアリングしたところ、比較的残業が少ない会社のようでした。
三六協定届のうち、通常の残業に対応する部分だけで十分だろうと当初は思いましたが、最近地震や水害などの予想しない事態が起きることが頭をよぎりましたので念のため「特別条項」という「通常の残業を超えた大幅な残業」にも対応できる様式での協定を提案しました。
少し経ってからのことですが、その会社はニュースでも大きく取り上げられた「大災害」に見舞われ、お店は本店支店を含めて大きな被害を受けました。
災害発生後の復旧作業のために通常よりもはるかに多くの残業が発生しました。
このような事態は全くの想定外でしたが結果的に特別条項が必要だったケースでした。
さて、あらためてお伝えすると、残業がある(想定される)ときは「三六協定を会社と社員で締結」して「監督署に届出る」ことが必要です。
働き方改革政策以降、三六協定届の様式も変わり、残業や休日出勤に対する制限も厳しくなりました。
令和6年4月からは中小企業にも60時間を超える時間外に対して割増率50%以上となることが決まっています。
企業は益々「生産性向上」を図って「出来高や売上高」を下げることなく「時短、残業や休日出勤の抑制」をする必要に迫れられています。
少子高齢化による働き手の減少により、会社が「社員を選ぶ」立場から「社員から選ばれる」立場に逆転したと思います。
「残業が多い、休みが少ない(結果的に働いたわりには給与が少ない)」会社は「選ばれない」存在になりつつあると言えます。
ですので、単に「法律で決まっているから届出をする」だけではなく、三六協定の作成から締結までの過程の中で経営者と社員が話し合いをしながら業務改善と生産性向上を図る施策を真剣に考えて実行するきっかけづくりとして活かして頂きたいと思います。
御社の繁忙期はいつですか?
繁忙期といっても色々なケースがあると思いますが大きく分けると次のようになると思います。
① ひと月の中で仕事が集中する時期がある(事務職は月初と月末が忙しいなど)
② 1年の中で仕事が集中する時期がある(運送業の引っ越しシーズンなど)
一般に週休二日制というのは、例えば土日が休みというような設定を指しますが、毎週働く時間数が一定になりますので繁忙期に対応しづらいと思います。
また、土日以外に祝日が休みの会社の場合、社員が働く日が完全にカレンダーによって決まってしまうことになります。これは言い換えれば業務の都合に関係なく出勤日と休日が固定化されてしまうということになります。
そこで会社の繁忙期または部署ごとの繁忙期に柔軟に対応するための制度として変形労働時間制を使うことがあります。
変形労働時間制の代表的なものとして1か月の中で出勤日と1日の勤務時間を振分ける方式と1年の中で振分ける方式があります。
どちらを選択するかは会社の繁忙の具合によって選択することになります。
それぞれの制度について就業規則上の規定や労働基準監督署への届出が必要になります。
忙しい時期には集中して働き、通常の日には余裕のある働き方が可能になります。
繁忙期を見据えた出勤日と休日の計画的な配分により有給休暇取得義務(年5日)に対応しやすくなると思います。
この制度を活用してメリハリのある勤務スケジュールを組まれてみてはいかがでしょうか。
労災保険、雇用保険、社会保険には実に多くの手続きがあります。
社員の入退社、通勤中あるいは業務中のケガ、業務外の病気、結婚、出産、年金などあらゆる場面において手続きが発生します。
以前あるお店から産休に入った社員に対して給付金があると聞いたが手続きを頼みたい、とのご依頼がありました。
そのお店では以前も産休を取った社員がいて、その時は会社から産休育休中に給与の60%の手当を支払っていたそうです。
お店のオーナーは「産休育休中に給付金が出るとは知らなかった。」とのことでした。
さて、「労災」と聞くと危険度の高い業種でない会社の方は「うちには関係ない」と思われるかも知れません。
業務中のケガがなくても、通勤中の事故によるケガはたまにあります。
また、業務自体は危険でなくても打合せ等の移動中に事故でケガするケースもあります。
ケガの程度が軽いからといって健康保険証を使って病院で治療を受けることはできません。
労災になりますので監督署への届出書類をもって病院や薬局に提出することになります。
労災を使えば本人の3割負担ではなくなりますし、ケガの程度が重くて休業しなければならないときにも給付が出ます。
状況によって届出に必要な書類の様式や数が変わりますので間違いや漏れのない準備が必要になります。
働き方改革によって義務化された有給休暇の取得(年5日)について、実施に悩む会社もまだあるのではないでしょうか。
以前、ある会社の社長さんから次のように話しかけられました。
「うちの会社では社員の休み(公休日)を増やそうと取り組んできた。十分に休日を増やしきったところ働き方改革の有休5日取得義務ができてしまったのでどうしたらよいか分からない。これ以上、休まれると仕事が回らなくなる。」とのことでした。
社員に良かれと思って努力されてきたのだと思います。
対策がないわけではありませんが、内容についてはここでは割愛したいと思います。
さて、有休取得については以前より「計画的付与」という制度があります。
この制度は「会社が有給消化日を指定する。」というもので、なかなか有休を取らない社員にも決まった日数の有休消化をしてもらうことができます。
御社での休日の取り方を工夫できる余地があるかも知れません。
あまりいい話ではありませんが、退職前後の社員と会社がもめる、ということはたまにあることです。
社員本人から要望やクレームを言ってくるだけなく、親などの親族や外部の組合や代理人が連絡してくるケースもあります。
また、労働基準監督署(など)の調査があると、社長と折り合いの悪い社員が密告したのでは?と疑心暗鬼になった社長から相談を受けることもあります。
私から見て「ブラック企業」とは言えないような会社でもそのようなことが起きています。
つくづく職場の人間関係や社員の処遇というのは難しいと感じています。
さて、このようなことが起きたときにはどう対処したらよいのでしょうか。
色々なケースがありますので「こうすれば大丈夫」と言える王道はありません。
しかし、私が相談を受けたときに心がけていることがあります。
それは「まず、社長に落ち着いて頂く」こと。
そして「これまでの経緯と事実関係を時系列に並べて整理する」こと、です。
相手の言い分の全てが正しいとは限りません。
相手から書面が送られてきたときには私も内容を精査します。
そして、書面中に書かれていることについて矛盾や就業規則や雇用契約(ときには会社の慣行や社長との口約束)との不整合がないかをチェックします。
同時に社長(あるいは総務担当者など)の考えも聞かせて頂きます。
相手によっては自分の言い分・要求を押し通そうと粘り強く交渉してくる人もいます。
例えば未払いとしている給与や残業代、慰謝料の支払いなどです。
本当に払わなければならない未払い給与や残業代があるのであれば支払うことになると思いますが、その場合でも本当に相手が主張するだけの給与や残業代が未払い分として発生しているのかを出勤実績と照らし合わせて判断することになります。
これらの対応は比較的に短期間に済むこともあれば、労働審判や裁判などの法的手続きに進むこともあります。
法的手続きになれば弁護士さんへのバトンタッチということになります。
相手方もこちらも時間と労力と費用を要する面倒なことになってしまいます。
こう言ってはなんですが、こうすれば労働トラブルは起きない、という魔法はないと思っています。
しかし、なるべく起きないように予防する手立てはあると思います。
それは、
・労働条件(就業規則、雇用契約)を整備して社員にきちんと伝える。
・過重労働や業務中の危険などをなくすよう改善に取り組む。
・仕事上の目標、役割、責任、権限を明確にして評価と育成をする。
・仕事に見合う賃金を支払う。
・社員間、社員と会社(事業主)の人間関係をよくする。
というようなことが挙げられると思います。
きれいごとのように聞こえるかも知れませんが、真面目に取り組んで職場環境・雇用環境を良くしようと努力されている社長さんはいらっしゃいます。
その会社の社員の皆さんは生き生きと働いていらっしゃるように見受けられます。
地味なことかも知れませんが大事なことだと思います。
御社の社内の人間関係は良好ですか?
顧客や外部の協力会社の方々との関係はどうでしょうか。
社内の社員同士は同じ場所で働いている「仲間」だとは思いますが、その一方で血縁関係のない「他人」同士でもあります。
人はそれぞれ「価値観」、「物事の判断基準」や「能力」等が違うと思います。
つまり、会社は価値観、判断基準、能力など様々な面で異なる他人同士が寄せ集まって一緒に働いている場所と言えます。
皆様は同じ職場の社員が自分とちょっと違う判断をしたり、「自分だったらこうするのに」と思ったり、自分の期待に沿った動きをしてくれなかった経験はありませんか?
おそらく誰でもそのような経験はあると思います。
このようなことはお互いが他人である以上は仕方のないことなのだと思います。
相手が上司であれば仕方なく黙っているのかも知れませんが、部下だった場合は何かひとこと注意をしたり文句を言ったりしたこともあるのではないでしょうか。
時には厳しく叱責してしまったことはありませんか?
また、あなた以外の誰かがそのような振る舞いをしている場面を見たことはありませんか?
労働局や連合のまとめによると近年の労働関係の相談件数でもっとも多いのが「パワハラ、嫌がらせ」という結果になっています。
部下や同僚を叱ることは業務上必要なこともあると思います。
実際問題として「叱ること=パワハラ」ではありません。(パワハラかどうかの最終判断は裁判所に委ねることになります。)
しかし、近年のパワハラを含むハラスメント件数の増加が社会問題化し、これを受けてハラスメント防止関係の法律が制定されました。
また、パワハラに対する社会の目も厳しくなり、企業では部下を叱るに叱れない雰囲気も出てきているようです。
皮肉なことに「ゆるい職場の雰囲気、優しすぎる上司」が若手社員の成長欲求に合わずにせっかく雇入れた若手社員が退職してしまうという事例も増えているようです。
では一体どうすれば良いのでしょうか。
私は次の3点が特に重要だと思います。
① 人はそれぞれ違う、ということを認識すること。
② 社員それぞれの役割、権限、責任、目標を設定すること。
③ ハラスメント(主にパワハラ、セクハラ、マタハラ)の理解を深めること。
①については、人間の心身の特性や感情、心理学などを勉強することで理解が深まると思います。
②については、就業規則と各社員の雇用契約を定め、業務上の役割、権限、責任を明確にして目標の設定と評価を行い、PDCAを回しながら成長を図る仕組みが必要だと思います。
③については、ハラスメント防止に関する法律について役員も含めて社員教育を行うことが効果的だと思います。
社内の人間関係を良好にして、社員が明るい気持ちでのびのびと仕事をできる環境を整備して頂きたいと思います。
あと数年で年金が受給できる年齢(65歳)に近づいた社長さんから年金受給(額)と役員報酬の関係についてお問い合わせを頂くことがあります。
お問い合わせの内容としては主に次のようなものです。
・年金の受給手続きは何か必要か?
・年金はいくらもらえるのか?
・役員報酬をいくらにしたら年金が停止にならずに済むか?
どのお問い合わせも即答はできません。
なぜなら、その社長さんがこれまでに加入してきた年金の種類(国民年金、厚生年金など)、加入時期、加入期間、配偶者の有無、支払い済みの保険料額、現在もらっている役員報酬の金額などあらゆる事柄が異なるからです。
また、年金保険への加入期間が長ければ長いほど年金計算の係数(物価に関するものなど)や特例措置、法改正など年金額計算に影響を与える様々な要因が複雑に関わってくるため手計算できる範囲を超えています。
よって、年金事務所や街角の年金相談センターにて年金記録を管理しているコンピュータの端末からデータを出してもらうことになります。
データを印刷した一覧表には、
・本人の加入履歴
・受給可能な年金の種類(本人の老齢年金や配偶者加算など)
・年金の受給見込額
などが詳しく記載されています。
このデータは本人が窓口に行って出してもらうことができます。
(というより原則として本人が出向くことが前提になっています。)
しかし、窓口での説明が年金制度の難しい部分に触れることもありますので、専門家である社労士に代理を委任されてもよいでしょう。
年金の支給停止に関わる役員報酬との調整は、このデータを見ながら慎重に行うことが大切です。
助成金や補助金には所管の官庁がいくつかありますが、社労士が取り扱う助成金は厚生労働省が扱うものとなります。
同省の助成金はいくつかありますが、細かいコースまで分類すると60種類程度の助成金が用意されています。
厚労省関係ですので主に人の雇入れや人材育成に関するものが大部分を占めますが、コロナ禍で有名になった「雇用調整助成金」など雇用調整に関するものや厚労省の外郭団体が取り扱う健康管理に関する助成金もあります。
たまに顧問先以外の会社の方から「助成金を活用したいので相談に乗ってほしい。」というご相談を受けることがあります。(キャリアアップ助成金のお問い合わせが多いです。)
後日、会社に伺って社長さんとお話しをさせて頂く中で、
・助成金を活用したい理由、目的
・社員数や給与体系
・出勤簿やタイムカードでの労働時間管理の状況
・給与計算(特に残業代の計算)の状況
・就業規則や雇用契約書(労働条件通知書)の整備状況
などを重点的にヒアリングします。
ヒアリングしていく中で分かることとして、
・労働時間管理があまり正確ではない(細かく労働時間を記録していない)
・就業規則や雇用契約書がない
・残業代計算が正確にできていない、または計算していない。
といった問題点があることが多いと感じています。
おそらくこれまで会社と社員との間で労働条件や給与支払いについて大きな問題が起きなかったこともあって、上記のようにある意味「おおざっぱ」な状況なのかも知れません。
しかし、助成金を活用するとなるとこのような状況のままではダメです。
助成金の申請においては、
・就業規則
・雇用契約書(労働条件通知書)
・出勤簿(またはタイムカード)
・賃金台帳(給与明細)
・年間勤務カレンダー
などの提出が必要になります。
これらの提出された情報をもとに労働局で給与計算(特に残業代)を計算して不足がないかをチェックされます。
また、残業代以外の基本給(や諸手当)についても時間単価が最低賃金を割っていないかのチェックがされます。
つまり、助成金申請をすることによって会社のすべてを行政(労働局)にさらけ出すことになりますので、当然のこととして不備があれば指摘を受け、是正を求められます。
ですので、助成金の申請にあたっては、まず「労務管理全般」を整備することが必要だと言えます。
当然のことながら法律に沿った内容となっていることが必要になります。
助成金の申請が「やぶへび」にならないように気をつけて頂きたいと思います。
私はかつてソフトウェア開発の仕事に12年間携わっていました。
大学4年生のときに卒業研究でコンピュータに触れたことがきっかけでした。
当時は今ほどパソコンの能力が高くなかったこともあり、研究では大学の計算センターにあった汎用機(大型コンピュータ)、UNIXというOSを搭載したEWS(エンジニアリングワークステーション:パソコンより少し大きめのコンピュータ)、論文作成用にパソコンという具合に使い分けをしていました。
初めてOSの使い方とプログラミング言語を学び、実際にプログラミングを始めました。
研究では古代エジプトの遺跡の発掘調査で得た測量データをもとにCG(コンピュータグラフィックス)で再現・シミュレーションするということをやっていました。
初めて自分で作ったプログラムを動かし、測量点座標をもとに遺跡の地面を三角形メッシュ分割で一瞬のうちに作図する様子を見たときにあまりの早さにかなり驚いたことを覚えています。
人間が手作業でもできることではありますが、人の手では時間がかかる作業がほんの一瞬でできたわけです。
当時はまだオフィス、学校や家庭でのコンピュータ利用はほとんどされていない頃でしたが、「コンピュータを使いこなせるようになればかなり便利に色々なことができる」と思ったことを覚えています。
卒業後、建築関係のソフトウェア開発を行っている会社に就職し、システムエンジニアとして12年間働きました。
仕事内容は顧客の求めるものにあわせてソフトウェアを新たに作ったり、既存のソフトをカスタマイズしたりするものでした。
顧客へのヒアリングに始まり、提案とヒアリングを繰り返しながら仕様を詰め、プログラムの設計をして作成し、テストして納品できる品質レベルに仕上げた後に顧客に納品し、その後のアフターフォローを行っていました。
プログラムは人間が作ったとおりに動きますので、人間が間違った考えでプログラムを作れば期待どおりに動くプログラムにはなりません。
ですのでプログラムを期待通りに動作させるためにどうすればよいかを論理的に精密に考えながら仕事をしていました。
この頃に身につけたプログラミング言語やOSなどの知識は今となっては古くて使えないと思いますが、論理的に考える技術は今でも役に立っていると思います。
さて、私自身、今の仕事では様々なソフトウェアやクラウド上の仕組み・サービスを利用しています。
お客様からご相談を頂いたときに便利なソフトやちょっとしたツールをご紹介したり、私が作成したツールをご提供させて頂くこともあります。
以前、ITという言葉がはやり、ICT、IoT、デジタライゼーション、DXなど様々な言葉が出てくるようになりました。
また、コロナ禍の影響もあり、コンピュータやソフトウェアを有効活用して業務効率と生産性を上げる、場所や時間の制約にとらわれない働き方も浸透してきていると思います。
人口と労働力の減少の影響もあり、今後はますますコンピュータとソフトウェア利用が進んでいくと思われます。
業務に役に立つコンピュータ・ソフトウェア利用のご相談にも対応させて頂いておりますのでご遠慮なくお声かけ下さい。
昨今、政府が声高に進めている企業に対する「賃上げ」の圧力は中小企業にとっては大変厳しい課題となっています。
しかし、名企業としては、何もしないわけにもいきません。
賃上げ出来る余裕のある企業にとっても、そうでない企業にとっても、自社の賃上げをどのように行うつもりなのか、会社としての方向性を従業員に示さなければなりません。
つまり、人事・評価制度と給与システムのしくみづくりをする必要があります。
そしてそのしくみを全従業員に理解してもらうことが避けて通れない今の課題となっています。
今、全く評価制度のない企業にとっては早急に評価制度を確立することが望まれます。
また、評価制度はあるが十分に機能していない場合、例えば目標達成度重視型の査定のための評価制度であったり、旧来の賃金テーブル方式で評価を行うと必ず一定の昇給を(評価結果によって)行わなければならない制度であったり、また評価制度が従業員の納得を得られていない場合などでは、より良い制度に改革することが重要な課題となります。
言い換えれば、企業目線中心の人事制度から従業員中心の制度に転換する必要があるのです。
この「人を育てる人事制度」は従来の一般的な評価制度ではなく、下記に示す特徴を備えた中小企業に適した制度なのです。
① 従来の「査定、裁き」の評価制度ではなく、「人を育てる」ことを重点に置いた評価制度です。
② その基本理念は、「人は期待されるとそのように育つ」という基本方針から、従業員が成長するためのキャリアパスを明確に、そして具体的に見える化します。その内容は、(ⅰ)知識能力、これは所属する部門の資格別必要能力を具体的に見える化します。これを「仕事しらべ」とよんでいます。そして、(ⅱ)行動・努力、これはどんな行動・努力を発揮して欲しいかを具体的に見える化したものです。つまり、企業が期待する社員像を明確にすることとなります。
③ 制度の作成は、管理者中心で結成したプロジェクトで行います。トップダウンの命令的な評価内容ではなく、社員が中心となって自分たちの成長、つまりキャリアパスを自分たちで設定します。
④ 行動評価制度では社員全員が「S」評価が取れるように評価の着眼点を設定します。能力が無くてもヤル気があれば出来ることをきっちりと出来れば「S」となるように設定するのです。この結果、皆が「S」評価となるかもしれません。それがいいのです。評価の平均が中位の「B」評価にする必要はないのです。
⑤ 経営理念が不明確でも、目標管理制度が確立していなくても、この「人を育てる人事制度」の導入は可能です。従業員が自分の所属する会社の発展を望まない人はいないのです。また、自分の成長も望まない人はいません。成長は働きがいに欠かせない重要な要素です。(人は金だけで働いているのではありません)
⑥ 上記の「期待される社員像」を具体的に記載したシートを入れた「社員ノート」を社員全員に配布します。このノートに企業が期待している社員の能力と行動・努力が記載されていることとなります。(等級と所属部署によって各人が違った内容となります)このノートは社員が自主的に自分のキャリア成長を管理することを可能にします。このノートで、一つ上の等級に昇格するには何ができればいいのか、評価制度で「S」評価を取るにはどんな行動・努力をすればいいのかが明確になります。(注:評価はS,A,B,C、Dの5段階で行うこととしています)
⑦ 社員の等級の決め方は制度導入時には、組織の和が壊れないようにします。具体的には、
(ⅰ)今、役職に就いている人はその役職に適合する等級に設定します(能力の有無は議論しない。これから能力をつけてもらうこととします)。つまり、役職者は自動的に等級が決まります。
(ⅱ)一般社員はⅠ級かⅡ級に決めなければなりません。この場合に社内に不満が出ないように勤続年数などを考慮して等級を決めます。
⑧ 管理者(評価者)が評価をした経験がなくても、そして人事制度に精通した総務部員(人事部員)が居なくても導入出来、さらに運用できる制度です。大企業に導入されている複雑な制度ではありません。人事制度は完全な100点の制度を導入するのではなく、企業の現状に合っており、かつ運用ができる制度構築が大切だと考えています。ただし、3年も5年も同じ内容では成長がないですので、せめて3、4年後には見直しが必要です。
⑨ 給与制度については、「昇給予算の範囲内で」社員各人の昇給額を決定するソフト(エクセルVBA)を準備しています。これを使うと多くの社員が「S」評価となっても全体の昇給額は管理出来ることとなります。
この人事制度は中小企業で働く従業員の皆さんが1人でも多く自分の職業人生を有意義に過ごして欲しいという思いでデザインしたものです。
私の人事制度の師である先生の言葉を引用すると「これまで多くの中小企業の支援をさせてもらったが、自分の職業にプライドを持って仕事に取り組んでいる社員が本当に少ない。」ということでした。
私自身も中小企業に20年あまり勤めた経験がありますが、「働きがい、やりがい、将来への希望」を感じながら仕事ができていたかというとちょっと微妙な心境になります。
この人事制度をご利用頂き、社員の一人一人が明確な目標をもって日々の仕事にあたり、働きがいと希望を感じながら成長できる職場環境(人事制度)を作って頂きたいと思います。
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